うさぎとピクニック

うさぎと、自転車、田舎での日々

勝手なつぶやき

ばいばい

前から、近々と思っていたけど、
けれどそれはやはり突然。

昨日初めて、くしゃみをして。
食欲もここのところ薄くて。
今日、また少し残したご飯。

きょうぼくが帰ってから、すりおろした
人参だけは、おいしそうにあわてて食べて。
その3時間後。

ずっと痛かったんだとおもう、
思えば、去年海につれて行った時も
動かなかったのは、痛かったから。
このごろ、ずっとうずくまるように
じっとしていた。
排尿の方向転換もできずにその場で。

思えば、初めて会ったとき、
ぼくの手を、なめに来てくれた。
二度目も。

それからうちに来て。
引っ越しをなんどもして、
山形、仙台
車で週末ごと、なんども揺られ。
つらい思いさせて、悪かった。

毛がおなかに詰まったり、
うまく噛んで食べられなかったり
日々心配だらけ。
音をさせると、びっくりするから。
なるべく音はさせないように。
冬は暖かく、夏は涼しく
穴倉のような、落ち着く場所を
作ったり。
これをしたら、これと。ふたりだけの約束を
作ったり。

触るときは、声をかけて、
ゆっくりと、そんなふうに二人の時間を
育んだ、信頼してもらえるように。
くまちゃんは、答えてくれて、
ぼくに目で語るようになった。
ほしいこと、してほしいこと、
きもち、カラダでも伝えてくれた。

その人参がいけなかったのか
元気のなさに、声をかけたら
きゅーっと今まで聞いた事がない声でないて
うつぶして、横になって。
そしてぼくが手をさし伸ばして
なでていたら、そのまま、動かなくなった。
目は、開いたまま息だけをしなくなった。
暖かかったので、耳を当てると
鼓動はなかった。

「ありがとう。
お世話になりました。
人参おいしかった。
とってもおいしかった。
やっと、らくになれました。
最期にいてくれてありがとう」くま。

そこでそうして寝転がっているきみは、
前の夏のだるだるしていた、きみ、そのものなのに。
だんだんぬくもりが、遠くなっていく。

ばいばい。
5年間、ありがとう。
きみのおかげで、ぼくの
この5年間は、ずいぶん豊かで
いられたよ。ばいばい、
いつか、どこかでまた。
今夜は、ふたりの思い出に浸りながら
一緒にもう少し、そこで寝ていてね。

ぼくはまだもう少し、きみを
思っていたいから。