天気のいい今日、野菜の配達。
あるお客さんのおうち、玄関へのアプローチで
広い芝生の庭を渡っていきます。
この間はなかったのに、地面30センチくらいの
高さ、青い花がぽっかり、宙に浮かんだように
たくさん咲いています。
まるで、宙に浮かんでいるよう。
時に揺れる花に、焦点が合わず
目がぼやけそうになりながら花を眺めます。
野菜を渡し野菜自体の話はせず、すっと帰ろうとして
「あれは雑草ですか?きれいですね」と、
振り返ると、その奥さんが、
「あら、よかったらお持ちになりませんか、
こぼれ種で増えたんです。どれでもお好きなのを
ちょっとお待ちになってくださいね」
花を眺めながら、しばし待つと、
小さなシャベルと、ビニールの袋と、そのなかに
ティッシュを濡らしたものが。
「こちらをどうぞ、こんなもので申し訳ないですけれど
足りるかしら」。
あ、ど、どうも、すみませんねーなどと
しゃべりながら、シャベルで
小さく穴を掘り、花を寄せ
もっていただいていた袋に移します。
「それだけでよろしいんですか。」
振り向くたび、腰を折り、頭を下げて
「ありがとうございます」と、お客さんが。
そしてぼくの車が見えなくなるまで、静かに見送り。
「うち、庭ないんです」と言えず…。
いただいた、根っこごとの花。
明日植木鉢買ってこよう。