うさぎとピクニック

うさぎと、自転車、田舎での日々

勝手なつぶやき

うさぎの島

1or161641 なんともほのぼのしたタイトルから、
うさぎさんばっかり住むパラダイス…
を思い浮かべると、のけぞる絵本。

例えばゲージの鶏は暗闇の中24時間光で
管理され、たまごを製造する機械と扱われています。
光を見るのは、廃鶏として「出荷」されるときだけ。
そういう現実がありますが
それの太らせられて肉用に出荷されるうさぎを描いた絵本。

長いあいだ「ここ」で暮らす灰色の太ったうさぎは、いいます。
「ここでは我慢して、なにも悪いことを
しなければ、平和に毎日おなかいっぱい食べて幸せでいられるんだ
なんにも感じずにいれば、ここで一生幸せなんだ。」

そうかなぁ。
ここに運ばれてきたばかりの小さな茶色いうさぎは
思います。
「ここにくる途中にみた、かぶの畑がここにはあるのかなあ、
おひさまが輝いて
夜には、お月さまが見えるのかなあ。」

そして茶色いうさぎは、ちょっとの勇気を出して
ここを抜け出そうとします。
なにも考えなくなった灰色うさぎを誘って。

外に逃げ出したばかりの開放感の中、草の匂い、土の感触、風の感覚
水の音、さまざまな感覚がうさぎをとおして
息吹として読んでいても新鮮に、体に入ってきます。
 
外では茶色の小さいうさぎがなにも考えられない、灰色うさぎに
自然のことを教えますが、疲れたり
怖い動物にに追いかけられたりして、灰色うさぎは、
やっぱりあのなかにいれば幸せだったのにと思い始めます。
灰色うさぎは工場での自分の行く末を知らず
ただ、安定していられた場所に帰りたいと。

読み始めると、うさぎ目線で、
ふたりの進もうとしている世界の勇気に、
エールを送っている自分に気が付きます。
ほんの少し、歯がゆさを感じながら
もう少しだから、がんばってと思うところで
絵本は終わります。
続編があればいいのですが…。
今度は、灰色うさぎを主人公にして。