お客さんにお届けをしたら、パンを頂いた。
今焼けたばかりというそのパンを
手にしたら、さくっとふわっとして、どっしりとして。
それは食べなくても味が見えるようなそんな素性の暖かさ。
中にはクリームチーズと、干し果実を少し織り込んで
バランスも素敵。
後日聞いてみたところ、誰にも習ったことはなく
自己流でただ、焼いているんだそう、
ただ、作るのが好きなんですと。
天然酵母なのか、酵母を自分で起こしたのか
なんて、どうでもよくて、そんなことは聞かずに。
好きだけで これだけの ものが焼ける という、
こと、食べてもらえるのがうれしいというその感じ、
なにかセオリーとか、マナーとかルールとか
そんなものではない、忘れてた大事なことを
思い出したような気がして、はっとする。
昨日の旅館、
夕食、朝食、帰り際に尋ねると
野菜の材料はみんな自家製無農薬野菜なんだとか。
そんなことは売りにせず、ただ当たり前の食卓として並ぶ
なんだかそれが嬉しかったり。
ぼくも聞かれない限りあまり説明をしないで仕事をしている。
伝わる人にはまっすぐ伝わると信じているから。
なになにだからなになんです、なんていう、紋切り型の
余計なことを言う、コマーシャリズム。くだらなさには赤面するばかり。
誤解も多く受けるけれど、互いに価値観が相容れないという
ことなんだと、いつも甘受うなずきながら、誤解をとく労力は捨て次へ。