いいスピードで、車を運転していた。
田んぼや畑のある、ちょっとした郊外の道。
ひらひらと、目の間に現れた蝶
よけることもできずに、そのまま巻き込んだ。
いや、
たぶん前乗っていた車なら巻き込んだと思う。
ぬりかべみたいな空気の壁を押し出していくタイプのる車と違い
この車が作り出す風に蝶が まるで流れる空気の波にのるみたいに
ふわっと、くるり 回転しながらも
フロントボンネットからウィンドウへ続く少し上の空気の波を連続して 乗り越え
うしろに去って またひらひらっ
何事もなかったかのように。
ただそれだけですが、
このくるまにしてよかったと思う瞬間。
一度や二度ではないので、ありがたいと思う。