眼をつぶらされ車で移動させられたようなものなので
移動した先では自分がどこにいるのかわからないはずなのに、
なぜか、2時間もすると、そいつは下の池にいる。
下の池の一番端の、泥の上の同じ場所に
同じようにこちらに背を向けて、じっとそこにいる。
なぜ、どうしてそこなのか。
どうして戻る方法を見つけるのかわからない。
暗くなると、毎日そこにひとりでポツンといる。
そこが家なのか、なわばりなのか、
誰かを待っているのか、月明かりの下
孤独なサンショウウオ。
少しの藻をとって下の池をきれいにしてあげよう。
あたたかくなってくると、水温が上がって汚れてくるから
それが心配。
水もなくなってくると思う。
泥の中ミミズはいたよね、ご飯の心配はないかな。
月明かりの下の小さな池を選んだサンショウウオ。
きっと自分で臨んだ孤独。
眼を離せられない。
危うい若い孤独。