よく行くアイス屋さんのご主人が暇になる
冬の三か月の間、店を休みにして、古いハイエースで
南の方へ向け旅に出発するのだと、
嬉しそうに話してくれました。
行先も、途中もなにも決めていないクルマの中で寝る旅で
車中泊、車を止めるところに街中では苦労するというので
東京生まれ育ちのぼくは、では一肌脱いで
どこそこの、だれそれを訪ねて行くといいいですよ、と
話そうと一瞬頭の中をぐるぐるしたのですが
…だれも思いつかない。
だれもいない…
兄弟、親戚すら、連絡先わかんなくなってる…
友達なんていない。同級生からは行方不明状態。
(震災の時、高校の先生がぼくのことをネットで見つけてくれて
フェィスブックにお誘いいただきました)
古い知人は、うーん忘れたしむこうもたぶんそうでしょう…。
では東京離れて後、いままで住んだ長崎や山形には?
うーん。
これもそのときは居たつもりでいたけれど離れると駄目ですね。
ちょっと、一肌脱げずに残念。
せめて、旅経つ彼にお酒でも餞別にお渡ししようかな。
彼は、旅をしたくてアイスやさんをしているそうな。
奥さんが突然亡くなって五年。
ひとりでの子育てもひと段落して、
また、五年ぶりの旅再開なんだそうです。
なんだか乾杯代わりにお酒でも渡して旅立ちを祝福したい気持ちです。
友だちでもなんでもないけれど。
ぼくもどこか旅したいな。