うさぎとピクニック

うさぎと、自転車、田舎での日々

勝手なつぶやき

くまちゃんが書いたおはなし。

ぼくは「くまだくま」です。
きのうからなにも食べていない。
知らない町に来て、まずぼくがしたことは、
表札をたてること。
「くまだくま」
これがいちばん大事な。
だって、じぶんがどこにいるのかわからないから。

ここにいるけど、ほんとは
ここがどこなのか、いつまでいるか、わからない、
ぼくは熊田熊。
うさぎだけど、強いから熊田熊。
仲良しは誰もいない。
いつもどこかを探検。そのうち
迷っていることが自分の居場所みたいになった。

ぼくはそれでもいいんだ。
いつも町はにぎやか、
ともだちなんていなくてもかまわない。
みんなはぼくが嫌い、
ぼくはみんなをだい嫌い。
強くないと生きていけない、だからぼくは、
くまだくま。

ここがどんなとこでも別にいい、
いつまで、ここかわからない。
ここがどこでも、べつにいい
ほら穴を見つけたから、、
ここに住むことにしただけ。
少しこもってから、
表にちょっと出て見たり。

ここは、日中なのに、夜のよう。人の表情が
見えないところ、それがなんとなく気に入って。
だけど、困った。みんなが言っている言葉が分からない。
しっている言葉なのに、意味が分からない。
どうしてみんな、へんな言葉をしゃべってるんだろう

「ぼくは、くまだよ。こんにちは」
ちょっと話かけてみた。
「くまなんかありふれてるよ。
おれは、オオカミだ。」
ばさばさっ。
オオカミというけれどぼくには、ニワトリにみえた。
おかしなところ。

「おい、うろうろとなにをしているんだ?
じっとほらあなに動かず
隠れていたほうがいいんじゃないか?」

振り向くとトラが。

「なんで?ぼく、くまだよ。」

「なんなでだって、このあたりはひとりでいるとこじゃないんだ。」

「ひとりじゃだめって?
強いから大丈夫だよ。」

「強くてもだめなんだ、ほらあいつは自分はゾウだと思っている黒ヒツジだ。」

黒ヒツジがこっちを見つけて近寄ってきた。

ぼくはくまだくまだよ。」

「おれは、ゾウだ。」と黒ヒツジ。なにかを抱えてあいさつ。
それはなに?
「これか、そうだな、ほら、あのがけをみてみろよ。

指差すがけの途中にはちいさい花が、いくつか咲いていた。

白くてとてもきれいで、
離れているのに香りまで漂ってきそうだった。

「あれは、取りに行くのがたいへんだから
ほら、おいらが似たようなものを自分で作ったんだ。
ほーら、そっくりだろ。
しかも安くてたくさん作れて、置いとくだけで
向こうから来て、たくさん売れるんだ。」

それは崖の白い花と、ちがって安っぽく見えた、
「さーて、この一本が売れたら
また作んなきゃ、忙しい、忙しい」と、
銀時計をぶらさげて歩いていった。

ふしぎだ、なんだか崖の花が自分より強い気がした。

ぼくは、くまだけど、うさぎだよ。
ちょっとだけ、つぶやいてみた。

向こうから走ってきた、小さい女の子ねこが目の前で転んだ。
ぼくは手を伸ばしてた。
黒ヒツジのニセの花を持っていたから気になった。
泣きそうな顔をして、
そしてまたまっすぐ走っていった。

遠くから、ねこのおかあさんが、「ありがとうございます」
とぼくに。

子ねこは、お母さんのところにつくと
花を渡している。

ふと思った。

きれいな花を届けたら、優しい人に会えるのかも。

目的のない旅だったけれど、
きれいないいものがどこにあるか、探す旅も
面白そうだ。

白い強くてきれいな花に、触れていたい。

ぼくは崖を登った。
怖かった、だけど、あの転んだ女の子に
本物はこれだよって渡したくて
崖を登った。二つとった。
1日かかって登って、1日かかって下った。
花は無事 とってこれた。

あの子にあげるとだまって、またお母さんに渡していた。
がっかりして、もうひとつを持ってあるいていたら、
カンガルーの子どもが、欲しいーとやってきた。
嬉しかったので、渡したら
おかあさんに渡していた。
ありがとうと、おかあさんがぼくに、手渡してくれたのは
お菓子だった。子どものために作った
手作りのやさしいお菓子。

自分でだけで食べるのはもったいない。

少し、背の高いキリン。
キリンだけど、おいしい物が好きで
あちこちに目をやってどこかにおいしいものがないか
探している。

「これあげる」と渡すと、
「おいしい、もっと欲しい、もっと作って」、
と3この野菜の団子をもらった。

野菜団子をクッキーをくれたカンガルー母さんに届けると
ともだちにって2個もっていった。

ともだちなんかいないぼくは考えた、
ともだちいたら、どうするんだろう
もしかしたら、2個のうちまたひとつを誰かに
あげるんじゃないのかな。

きっとそれは、素敵な思いで、
満たされる瞬間なんだろうな。きりんにあげて、考えた。

家に帰って、
作ったのは、郵便箱。
だってだれかがぼくを探していたとして、
ぼくに用意がなくて、みつからなかったら。

だから
くまだくまというポストを作った。
昔のだれからも手紙はこないけど、
だって住んでいる場所を昔の誰も知らないから
届くわけはないけれど、それでもポストを
作りたかった。

あるとき、
くまだくまさま
と書いた手紙が入っていた。
初めての手紙

あのときほんとの花をあげたねこの子どもから。

うさぎのくまさま。
「おかあさんが、優しくしてもらったときは
ちゃんとお礼をいわなきゃって、言いました。
優しくしてくれたひとが、また別の人に
優しくできるように、しなくちゃいけないんだって。
ちゃんとお礼を言うと、そのひとがまただれかに
優しくしてあげられるからって。
いわずにごめんなさい。
まただれかに優しくしてください。」

優しい心をもっている人は
どこにいるんだろう。
優しい団子を作ったら
だれか気づいてくれるだろうか。

うさぎのくまだくまは、からだにいい草を
山から大変な思いで取ってきて
団子を作ろうと思いました。

ぼくは、くまだくまだけど、うさぎです。
ちいさな、うさぎのくまだくまです。
山で採ってきた草団子を売っています。

誰か買ってください。本物です。あなたへのこころがこもっています。