うさぎとピクニック

うさぎと、自転車、田舎での日々

勝手なつぶやき

裏山にて

日常の中のひとコマで特に書くこともないかと思いましたが
いちおうの覚書として書いときます。

二週間前のこと。

裏山にアケビ取りに行きました。
脚の養生で、自転車に乗れない分少し散歩がてらにと。

ちょっとした林道のようなところ、
うちから五分ほど歩いて
とはいえ、道が回り込んでいるのでうちからの直線距離では
100メーターほどのほんのすぐ裏。

念のため、クマよけの鈴をちゃらんちゃらん
させて、歩いていました。
あけびとりの高枝ばさみを杖にして
ぽくんぽくん言わせながら。

 

と、勘のいい方はここで気づいたかもしれませんが
クマの話です。


その五分ほど歩いたところで突然
なにか風のたまる音のような、音というより
振動を感じました。
気にしなければ、気にしないそんな音にならない
空気の囁く揺れのような。

 

ただ都会ならまだしも田舎ではあまり感じたことのない
超低音だなとは思いました。
およそ20ヘルツほどのゆったりした振幅で、
音としての低音ではなく空気の振動として
伝わる暗騒音といわれるジャンルの軽い空気の揺れ。

 

耳鳴り?ん??勘違い?と思ったのは一回目、二回目。
10秒ちょい続き、そしてまた10秒ほど置き
また響いてきました。三回目にはさすがに立ち止まり
音を聞こうとします。

 

空気の振動の前に、よく聞くと、2サイクルエンジンを
掛けるときちょっと空気が抜けるときのような
空転音が聞こえます、ガソリン切れかプラグかぶりか、それは
まったく反応のないエンジン音のよう。
そういう刈り払い機をかけるときのしゅぽぽぼぽが最初にくるので
遠くで、誰か山仕事でチェンソーかけようとして失敗しているのかな
いい加減かからないならやめればいいのに
という、しつこくチャレンジする音であり空気の震えでした。


と、そう信じたかったのでした。

ひとの声や、気配、遠くからの車の音と
なにが違うのか位置関係などもつかもうと耳をそばだて、全身で感じようとして
でも低音すぎて、どこから聞こえるのかわからない。


もしかしてもしてかして、とうっすら、
クマではないかという怖れも抱きつつ。しばらく立ち止まって
数分の間に、なんどもなんどもなんども、繰り返し聞こえてきてくる
ほう、山の横の上のほうの林のほうに向かい合い
じっと見ていてもなにも動くものはなく、やはり
見えもしません

 

ただもう暗闇に亡霊を確かめることはやめ、ただおびえるごとく
でもゆっくりと、こちらの音を立てながら、
もうそこから先に離れるようにしました。


数メーター離れると、やがてすぐにその音は聞こえなくなりました
いや、正確には、音がしなくなりました。
数メーター離れた距離で、聞こえなくなったというのとは違う
大きく身体に響いていた低音が聞こえなくなりました。

 

もちろんエンジンがかかった音も、せず。
あとで調べると、あれはやはり熊のうなり声だったようで
動物というのは、低音をだせるほど
強いアピールなんだと聞いたことがありましたが
あれはまさしくその体現でした。
そしてぼくのほうはというと、弱いもののアピールである
こっちこないで怖いよーの高音、ちゃらちゃら。

 

しかい大きな音を立てて刺激してもいけないというし
クマに対してはどうしたらいいのか、まだ答えが見つかりません
もう会いたくないのに、こないだは玄関開けたら
いきなりクマが、木登りしてご飯食べてるし。

 

うちのそばだと、まだクマもひとんち、だと思って
あっいけない、ごめんねと遠慮気味で退散してくれますが
こっちから山に入ったとき、ここは俺んちだとのアピールが
すごいので、あっすみません、と立ち去りたいのですが
いきなり強硬手段にでてこられないよう、
せめて、クマ語を理解して山に入りたいもの。

 

つうか、クマ、広いのだからもっと山の中に行けばいいのに、
こっちの近くに降りてこずに
と、ただまっすぐそう思うのだけれど。