うさぎとピクニック

うさぎと、自転車、田舎での日々

勝手なつぶやき

駒の湯から米沢へ

行きより帰りのほうが長く、獲得標高もあるのは…

ここまでこれたならそれにあと少し上乗せするだけ、

できるはず頑張って自分、というエールを込めてのルート作成。

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あと10キロと思うと長い、1時間と思うとまあそんなものか。

さておやつというより道を大事につなぐ(補給)行動食を積んで、出発。

いきなりの急登、ちからを抜いてリラックスしていきましょう。

G-1

から続いていました、当然G13もあるのかと思ったらありまして。

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で、Gってなに?

G13型トラクター望むとかなんとか道路に書いたら連絡あるのだろうか

などとと妄想しつつ、ほかに考えることもないひたすら上る。

景色はとってもいい、行く先の道も、来た道も見えて

山すそに沿ってというこんな道あんまりないな、

後ほどいやというほど見ることになるのですが、このときは新鮮でした。

あ、さっきひーひー通ったとこがもうあんな下に、いつしか来てしまうものだな

などと難解な哲学書を読み進めたときかのように、うれしく。

 

距離10キロと書いてあったし、標高は1000メーターほどのようだからそろそろかな

と思ったところ、油断していました、妙な斜度のところがあり

うっかりよろけて脚をつきそうになり、いや傾斜で脚がとどかないと焦り

俄然踏み込みモードに切り替えて事なきを得まして、振り向き笑ってしまうのでした。

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峠を越えたときはどんな景色が広がっても気持ちいい。

そのあとはゆるやかでなんだたいしたことないじゃん枝折峠

と思ったものの、ここを抜けたあとその本領を知るのでした。

下のほうに小さなダンプや橋が見えてミニチュアみたいと思うや、そこに向かって

下っていきやがて、そのミニチュアの中に混じり少し下りの直線の道を走ります。

なんだろ、妙に開けていてなにここ。

 

のんびり走ってしまいます。その後はちいさな谷がいくつもつつぎそのたび

巻くように道が作られていて、普通橋でしょというその箇所、

道路を川が横断しています。そして国道の印。352号、え国道なのここ?

なんど沢を横断したことか、二輪車は注意と書いてあるけど

ダム作ったついでに、ちいさい橋くらい作ってよ。

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走ったところはただの谷を巻いただけ

 

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うねうね、走っても進んだ気がしないのはシーシュポスの神話的



それにしても、時間ばかり増えて、2時間3時間

ふと気づけば景色が変わらないぞ、距離がえまだ50キロも走っていない。

やがて飽きてきたんですけど、と声にだしてつぶやき始めました。

補給たっぷり水もたっぷりですが、気持ちがめげてきました。

もう帰りたい…でもケータイ通じないし輪行バッグもってたって

何の役にも立たない、帰るにはただ走り続けるだけ。無ですな、もう。

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恋の出会い、恋の分岐というニュアンスのピークがふたつ



紅葉という景色でもない、距離感が漠然とした風景の中

ちいさな遊覧船がほえーと進んでいきます。

なんなんだろ、ここ。登山に夢中だった高校の時からずっと来たかった

でも交通手段が乏しい年代、遠くてね、谷川より八海山より、尾瀬よりさらに

向こうというだけであきらめるには十分な土地でした。

銀山湖、地図で見ただけででかく、周りにあるのは只見と桧枝岐、入り口は

向こう側。

そして向こう側から今日は来たわけでしかも自転車、ただ道をなぞるしかない。

しばらく変わらない景色の中を住みました、登って下って下って登って。

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しっかり食べるとやはりね違うんですよ。

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キノコ汁は醤油味。



やがて小さな食べ物やさん、ここに住んでるのかな、山の中野山の中。

あまり時間取りたくなかったのですが、食事をするとしないとでは随分違います

時間は確かもうお昼前。

汁物と白飯が欲しいなとキノコ汁ごはんセットにしました。850円。

最近すこし塩気が強いものが多い気がして自分の味覚が変わったのか

はたしてここのもそうで、水で薄めながら食べました。

すこし開いたなめこが好きですねおいしかった。

 

先の様子を聞くと峠でトンネルはないですというのでまた覚悟して登り始めます。

ゆっくりとね、まだ半分も来ていない。ルート図ではこの峠(御池峠というらしい)を

越えたらあとは会津若松まで下り基調で万歳、そのとふたつ峠を越えたら

車に着けます、あとすこしという気持ち。

 

意外にあっさりこえたあとは気持ちよく下り下る、

下のほうが紅葉してる?樹林の違いかな。

初めての桧枝岐までは道幅も広くて気持ちよく下りました。

キャンプとか気持ちよくできそうな草原も。

きれいだなと思った瞬間たくさんあるのですが、止まるの面倒で写真ないです

この、あとずっと。

なんというか気がせいてね。

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桧枝岐。

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またきのこ汁。汁は飲み干す、塩分大事。




けんちん汁の食事処を見てついまた誘われ、ご飯セットを。

さっき食べたばかりなのに。1000円

イワナのたまごと、あときくらげの刺身と、あとなんだっけ。

キノコ汁と言いつつ、シイタケがほとんどなのずるいぞ。

あとで考えてみるとこの先止まったの道の駅とコンビニの二回だけで

ここで食事二回してむしろ良かったかも。

店があって止まれるとき止まらないとね、自分の場合。

 

登りで稼いだ分を浪費するかのようにしばらく下ります。そして右折。

ここまでで予定より90分遅れていました急ぎたいところですがまた登り。

この辺地図でルート引くときなんでここかというと、昔東京から来たことが

あったんです、木地師の郷ということで。

そして冬に民宿に泊まった35年くらい前、あれは針生という集落。

ここかという家がありました。懐かしいな。

で針生に道の駅、ここであまりに眠くてぼっとして来ていたので甘いコーヒーをイン。

人に聞かれました、どこまで行くのかと。

小野川温泉というとわかってもらえず米沢と言い換えて

今日はどこに泊まるのとさらに聞かれ、ぼうっとしていて意図を組み切れず

たしか、そこが終わりですと答えた気が。

そしたらえ、と信じられない顔してタフだなあ、なんと体力だと言われましたが

いやすでにもう疲れ切ってます、と答えるのがせいぜい。

自分の中の勝機としての希望は登りがここを含みあと二回だけということ。

このあと、峠がトンネルだったのにはほっとしたのもつかの間、トンネル内に急登、

そして対向車線が別トンネルで、分岐。そこだけ道が狭いうえに中央ポールで

しかもうしろから大型バスがせまってきたのには焦りました、

思わずがんばってますよー

これでせいいっぱいですよー、あなたもエンジンパワーないから

速度落としたくないでしょうが、私もがんばってますよーのアピールダンシング。

でここもまだ352号なんだなあ。

 

下りの途中少し暗くなってきていて、暗い山の上のほうの一か所に

太陽の山を越えてきた残り日がさーっと当たって光ってとてもきれいだった。

これは心にとめた一枚。

下りでは中央寄りを走り後ろから車がきたら足を止めて脇によけてどうぞ。

意外に大きくよけてくれて、トンネルの中では近づくにつれ速度を落とす車も。

どうしてと思うほどみんなやさしくて気持ちがわかりうれしく涙出そうに。

福島の車のマナー、ほんっとにいい。

この後も含め一度も嫌な思いをすることがなかった。

 

会津のローカル線の駅のあたりに出ました、どこが駅かわからないけど

線路もあるしたぶんそう、と思うと同時にえーここからあのレースのとき泊まった

旅館や、会津若松とおって喜多方行って…まだ遠いなあ…つけるかなあ

いつか車で通ったはずの記憶の道をたどってるはずがさっぱりわかりません。

ライトを点滅から点灯に代えます。

そんななか、道沿いの小さな古い木造の工房のようなところから明かりがこぼれ

ふと見ると老婦人と眼鏡をかけた老人が服でしょうか、

裸のマネキンの数体並ぶなか立って布を持ち上げたり、下を向いて布を裁断ています。

ああ、なにかいいなあ、思わず速度を落としてじっと眺めていたい

童話でいうとピノキオのジェペット爺さんの世界で、カメラを向けたい気持ちを

かなり抑えてただ、そっと通り過ぎました。素敵でした。

 

やがてコンビニを見つけて入り、いま食べたいものは?とおなかに尋ねると

こういうとき大抵無言でうーん、というのですが今日は珍しくヨーグルトというので

その類のものを飲みました。タンパク質が欲しかったのかも。

それと今は食べたくないけど北海道のとき持ち歩いたポテトサンドイッチを。

意外に自分にはこれがいいみたいで、食べなきゃならないときの保険みたいなもの。

店員さんにここはどこ?と聞くと下郷とのことでした。

聞いてもどこだかわからない。

走っていると、いろんな匂いがします。おばあちゃんちの匂いや、夕食の匂いや

線香の匂いや、薪風呂の匂いや、匂いがいろんな記憶を呼び戻します。

時に体験していないのに体験しことがあるかのような錯覚も。

 

リアライトを二灯に増加、フロントライトも二灯に。

あたりが全く見えなくなってきました。90分遅れは変わらず。

さいわい11時ころ雨が降るとか、14時ころ雨が降りだすというレーダーピンポイントの

予報は移動に伴い当たらずにすみ、まだ雨雲はありませんでした。

これだけでもついていたので、先を急ぐ気持ちになってしまいます、

なるべく休みたくない、という気持ちだけ、たまちゃんさびしくしているかなあ。

たぶんじっとうずくまって自分の体温だけで温まっているんだろうなあとか

(ヒーターいれていますがどうも違うらしいです)

 

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文明に触れた気分、信号で止まれるのも嬉しい。



いきなり街に出ました、あれ?信号が一杯。それまで通り過ぎた集落とはなにか違い

ビルが立ち並んでいます。会津城とかへの案内もあるしテレビ塔もある、

ここが会津若松か、川に沿って下り基調だったせいであっという間についてしまった。

RWGのデータを見ると喜多方までも少し下りのようなので力を抜いて進みます

 

本当は磐梯に上がり白布峠経由で小野川に下ろうと思っていたのですが

坂がもう嫌なこと、距離が長いこと、雨の恐れ、そして標高が高いことで寒いこと

など真っ暗な中動物も嫌だしと嫌なことだらけで、大峠トンネルを超える嫌さのほうが

マシ、という状況でした。

そして大峠へ向かいまして、急なルート変更のため自転車ナビタイムを起動して

一回のみのお試し版を使用。、田んぼの中まっくらくらすけ

でも音声ナビが案内してくれるからこういうときの不安はなくとても助かりました。

この後サンドイッチを食べ結局下郷コンビニがラストコンビニとなりました。

しかし、いきなり交通量が増える17時過ぎから19時のあたりから

だんだん車が減ってシーンとなっていく20時過ぎとか、

どんどん食べ物店も閉まることとか、田舎の町を走り続けたときに、時の流れと

人の活動が顕著に感じられて、変わらずただ走り続ける自分との対比がいつも

戸惑うほど面白い

大峠トンネルへ向かいましたが時間は21時くらいだったかな、

もうほとんど車の通行がなくなってきて、たまにきてもほんとに大きく避けてくれて

ありがたかったですね。

大峠トンネルは長大トンネルですがその間うしろから一台もなし。

ただトンネルを越えたら大雨でした。

 

トンネルの中で雨具装着という選択もあったのですが

…面倒で、そのまま雨の中につっこみ下り開始。

前が見えん。ライトが闇に吸い込まれる。ライト3段階のうち弱だったのを中にして

3灯点灯。寒い、冷たい、ブレーキはかけっぱで少しでもリム面を乾燥させながら。

タイヤの水しぶきが靴の底部から入るのが異様に気持ち悪い。他はまあいいんだけど。

だんだん近づいてくるのがうれしくて。

22時すぎに到着、ルートをエスケープしたので、ほぼ予定時間。

小野川で温泉にでも入れたら最高でしたが、かなわなかったな。

 

帰宅して、バブの炭酸風呂で温まり、カレーそうめん食べて

たまちゃん撫でようとしたら、だれあなた?ちょっと近寄らないで、と

1メーター離れられたので、さびしくひとりで寝ました。

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がんばりまちた。

いいコースだったな、ちょっとしたカルチャーショックのようなものがありました。

またいけたら行きたいな。いつか。

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こんなルート。前半はほぼ一本道。



248.05km

  • 12:11:03
  • 3,287m
  • 114W
  • 4,157kJ
  平均 最高
スピード 20.4km/時 61.6km/時
経過時間 13:54:22