うさぎとピクニック

うさぎと、自転車、田舎での日々

勝手なつぶやき

心象風景

旅立ちは、飛び立つよう。ふいにやってきます。一瞬、なにかが、パチンとはじけけたように、すべてが変わってしまうんです。そうなったが最後、一分もむだにはできません。テントのくいをひっこぬき、焚き火の熾をすばやく消して、ひきとめたり、見物をしたりの邪魔者たちがあらわれないうちに、リュックサックを背負いざま、一歩をふみだします。そして、ほらもう、道に出ました。静かな足どりで葉っぱ一枚もゆらさず、移動する木のように、落ち着き払って歩いていきます。テントの場所には、白っぽい黄緑の、くっきり四角いあとが残るだけ。同じ朝、しばらくたって、目覚めた友だちが、こういうのです。
「ああ、彼が旅立った…。秋がくるんだ」(スナフキンムーミン谷の十一月)より


どうしてみんな、ぼくの旅のことをそっとしておいてくれないんだろう。わかってないんだなあ。むりに語らせられると、ぺらぺらしゃべったが最後、ば らばらになって消えてしまうんだ。それで、おしまいさ。その旅のことを思い出したくても、自分がしゃべった声しかきこえなくなっちまう。(スナフキンムーミン谷の仲間たち)より  

 

 

こどものときの心象風景のひとこま。