自転車、山、水分が失われ、夜。
求めていたビールを一本やっと飲めて
そんな渇望か満たされたときや、折に触れ
思い出すシーンがあります。
震災の時、停電が一週間だったか10日だったか
続き(ほとんど記憶にない)
自分はアルチューではないのだけれど
なくて飲みたくて困っていたのがアルコール。
開通してまず買いにいったのは、閉っていた店の
外に置いてあるビールの自販機。
はたして明かりがついていました。
それは希望のあかり。
そこで3本ほど買って
去ろうとしたら、たぱこを買いに来た女性。
若くはみえないのだけれど
顔認証のを通らないからぼくの顔を貸してほしい
と、たばこの自販機の前に。
疑問をはさまず、貸してあげましたぼくの顔。
なんだかいことしたような、震災のみなが傷ついたあのとき。
断片的な記憶の中でも、ことさらあのときのビールの味だけは
忘れられない。
なにか欲しくて得られないときにビールという記憶のなかのひとつです。